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歯肉炎と歯周炎の違いはここ!|進行度・治療内容・予防法を比較

歯茎から血が出る、腫れているように見える——こうした症状があるとき、それが歯肉炎なのか歯周炎なのかによって、今後の治療や対処法が大きく変わります。どちらも歯周病に含まれる疾患ですが、進行度や深刻さには明確な違いがあります。

歯肉炎は歯周病の初期段階であり、適切な処置で完全に治すことができます。一方、歯周炎は炎症が歯茎の奥まで進行した状態で、失われた組織を元に戻すことは困難です。この違いを理解することが、歯を守るための第一歩になります。

歯肉炎とは何か

歯肉炎は、歯茎だけに炎症が起きている状態を指します。歯と歯茎の境目に溜まったプラークの中の細菌が原因で、歯茎が赤く腫れたり、ブラッシング時に出血したりします。

歯肉炎の段階では、炎症は歯茎の表面に限られており、その下にある歯を支える骨や歯根膜といった組織には影響が及んでいません。歯と歯茎の間の溝も、健康な状態と比べてそれほど深くなっていません。

痛みを感じることは少なく、出血や腫れといった症状も軽度であることが多いため、見過ごされがちです。朝起きたときに口の中がネバネバする、歯磨きのときに少し血が混じる程度の症状であれば、歯肉炎の可能性があります。

歯肉炎の最大の特徴は、可逆性があるということです。プラークをしっかり取り除き、適切な口腔ケアを続けることで、炎症は治まり、歯茎は健康な状態に戻ります。早期に対処すれば、完治が望める段階なのです。

歯周炎へ進行するとどうなるか

歯肉炎を放置すると、炎症は徐々に深部へと広がっていきます。歯茎の奥にある歯槽骨や歯根膜にまで炎症が達した状態が歯周炎です。

歯周炎になると、歯と歯茎の間の溝が深くなり、歯周ポケットと呼ばれる袋状の空間ができます。このポケットの中にはプラークや歯石が溜まりやすく、通常のブラッシングでは届かなくなります。ポケット内で細菌が繁殖し続けることで、炎症はさらに悪化していきます。

歯を支えている骨が少しずつ溶けていくのが、歯周炎の深刻な点です。骨が減ると歯茎も一緒に下がり、歯の根元が露出してきます。歯が長く見えるようになったり、歯と歯の間に隙間ができたりするのは、歯周炎が進行しているサインです。

さらに進むと、歯がグラグラと動くようになり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯周炎で一度失われた骨や歯茎は、自然には元に戻りません。治療によって進行を止めることはできても、完全に元の状態に戻すことは難しいのです。

症状の違いから見分ける方法

歯肉炎と歯周炎では、現れる症状にも違いがあります。ご自身の状態を把握する目安として、以下のような症状に注目してみてください。

歯肉炎の場合、歯茎が赤く腫れぼったく見えることがあります。健康な歯茎は薄いピンク色で引き締まっていますが、炎症が起きると色が濃くなり、ぷっくりと膨らんだような見た目になります。ブラッシング時に出血することがありますが、痛みはほとんど感じません。

歯周炎に進行すると、歯茎の色が暗い赤紫色になることがあります。歯茎が下がって歯の根元が見えてきたり、歯と歯の間の三角形の歯茎が失われたりします。冷たいものがしみる知覚過敏の症状が出ることもあります。

歯周ポケットに膿が溜まると、口臭が強くなります。歯茎を押すと膿が出てくることもあり、口の中に嫌な味を感じることがあります。歯が浮いたような感覚があったり、硬いものを噛むと痛みを感じたりする場合は、歯周炎がかなり進行している可能性があります。

治療内容の違い

歯肉炎と歯周炎では、必要な治療の内容も異なります。

歯肉炎の治療は比較的シンプルです。歯科医院で歯石やプラークを除去し、正しいブラッシング方法を身につけることが中心になります。歯茎の炎症を引き起こしている原因を取り除けば、数週間で歯茎の状態は改善していきます。

専門的なクリーニングでは、歯ブラシでは取り切れない歯石を専用の器具で除去します。歯の表面を滑らかに磨き、プラークが付きにくい状態にします。患者様ご自身でも適切にケアできるよう、ブラッシング指導やデンタルフロスの使い方の説明も行います。

歯周炎の治療は、より専門的で時間がかかります。まず歯周ポケットの深さを測定し、炎症の程度を正確に把握します。レントゲン撮影で骨の吸収状態も確認します。

軽度から中等度の歯周炎では、スケーリングやルートプレーニングといった処置を行います。これは歯茎の下に隠れた歯石を取り除き、歯の根の表面を滑らかにする治療です。麻酔を使用して、複数回に分けて丁寧に進めていきます。

重度の歯周炎では、外科的な処置が必要になることもあります。歯茎を切開して直接歯石を取り除いたり、失われた骨を再生させるための治療を行ったりします。いずれにしても、長期的な治療とメンテナンスが必要です。

予防法の共通点と違い

歯肉炎も歯周炎も、予防の基本はプラークコントロールです。毎日のブラッシングとデンタルフロスの使用で、プラークを溜めないことが最も重要です。

ただし、歯周炎のリスクが高い方や、すでに歯周炎の治療を受けた方は、より徹底した予防が求められます。定期的な歯科検診の頻度を増やしたり、専用の歯磨き剤や洗口液を使ったりすることも有効です。

歯肉炎の段階であれば、セルフケアの改善だけで十分に予防できることも多いです。しかし、一度歯周炎に進行した歯は、再発しやすい傾向があります。治療後も定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、歯周ポケットの状態を継続的に管理することが欠かせません。

生活習慣も影響します。喫煙は歯周病を悪化させる大きな要因です。ストレスや睡眠不足、栄養バランスの偏りも免疫力を下げ、歯周病のリスクを高めます。歯周炎の予防には、口腔ケアだけでなく、全身の健康管理も含めた総合的な取り組みが必要です。

早期発見が鍵となる理由

歯肉炎と歯周炎の最大の違いは、治療による回復の可能性です。歯肉炎であれば完全に治せますが、歯周炎で失われた骨や歯茎は元には戻りません。

だからこそ、歯肉炎の段階で発見し、歯周炎に進行させないことが何より大切です。ほんの少しの出血や腫れでも、それは身体が発するサインです。自己判断で放置せず、早めに歯科医院で診てもらうことをお勧めします。

定期検診を受けていれば、自分では気づかない歯肉炎の段階で発見できます。専門家の目で歯茎の状態をチェックし、必要な処置を受けることで、歯周炎への進行を防げます。

当院での歯周病治療と予防サポート

当院では、歯肉炎と歯周炎のどちらの段階であっても、患者様に合わせた治療を提供しています。まずは詳しい検査で現在の状態を把握し、今後の治療方針をわかりやすくご説明します。

歯肉炎の方には、プロフェッショナルクリーニングと丁寧なブラッシング指導を行います。歯周炎が進行している方には、歯周ポケットの深さや骨の状態に応じた専門的な治療を段階的に進めていきます。

治療後も、再発を防ぐための定期的なメンテナンスをサポートします。患者様一人ひとりの口腔内の状態に合わせた管理プログラムで、健康な歯茎を保つお手伝いをいたします。

歯茎の出血や腫れが気になる方、歯周病の検査を受けたことがない方は、ぜひ一度当院にご相談ください。早期発見と適切な治療で、大切な歯を守りましょう。