根管治療

~4つの治療法と症例~

根管治療とは

根管とは歯髄(歯の神経や血管など)が入っている歯の内部のことを言います。
歯髄には歯に栄養や水分を供給しています。
例えるならば、土に植った状態の木が神経がある状態、丸太の状態の木が神経が除去されている状態を指します。虫歯や歯の亀裂等によって原因菌が歯髄まで到達すると、歯がズキズキ痛んだり、腫れぼったい感じがしたり、顔の腫れが起こります。自然に治ることはなく、放置する期間が長ければ長いほど重症化し、周囲の骨を溶かしてしまいます。

根管治療とは、根管の中に入り込んだ細菌を除去し、根管を無菌的にしていく治療です。

当院の根管治療の特徴

当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡を用いた治療をさせていただきます。

根管治療は非常に小さな範囲での治療のため、肉眼では視野が狭くなってしまい、治療の精度がどうしても落ちてしまいます。そこで当院では、マイクロスコープや拡大鏡を用いて精度の高い根管治療をしております。そのことで治療の成功率が格段に上がることが様々な論文で証明されております。また歯根端切除術を併用した根管治療も行なっております。

根管治療をしているが一向に症状が改善されない方や根尖の感染が大きく通常の根管治療では除去が困難で抜歯をするしかないと言わた方などが歯根端切除術をすることで抜歯を逃れることができます。

虫歯の進行程度と根管治療の関係性

虫歯は、まずエナメル質(歯の外装)から内部に向かって進行します。
歯の構造を例えるならば、りんごをイメージして頂くと分かり易いかと思います。りんごの皮の部分がエナメル質、りんごの果実の部分が象牙質、りんごの種の部分が歯髄というような構造となっております。

また歯の構造で硬度が高いのは、エナメル質のみでその他は意外と柔らかい組織でできています。
虫歯はC1からC4までの分類があり、数字が大きくなるにつれて深くなっていきます。

C1はエナメル質まで、C2が象牙質まで、C3が歯髄、C4がC3の状態を長期間放置したことで歯のほとんどが虫歯に侵された状態になっているものを指します。
根管治療では、C3、C4の歯に対して行う処置となります。

虫歯の進行と根管治療

虫歯の進行
健康な歯
虫歯(C1)
虫歯(C2)
虫歯(C3)
虫歯(C4)

根管治療と4つの治療法

抜髄:神経を除去する治療法

抜髄とは、C3になった直後に行う処置で、ダメージを受けた歯髄を除去する根管治療です。
歯髄は、神経と血管で構成されており、虫歯や噛み合わせ不良、極度の知覚過敏などが原因で歯髄を刺激することで歯痛が起こります。

ただ稀に痛みなく、C3となる場合があります。
抜髄とは、C3の患歯に対して歯髄を除去する根管治療を指します。

感染根管治療

C3から更に進行して歯髄が壊死してしまい、歯根の先に膿が溜まってしまった歯に対して行う処置を指します。
この場合は、壊死して腐敗した歯髄とその周囲の根管周壁を同時に掃除しなければ膿は除去できません。
根管治療で根管が無菌化されると、症状が改善します。

再根管治療

過去に一度以上根管治療をした歯が、再度感染し炎症が起きた場合に行う再治療を指します。
以前治療をした際に残存した細菌が繁殖した場合や、辺縁漏洩(詰め物の間から細菌が入り込み感染を引き起こす事)が起きた状態です。以前に詰めた詰め物を全て除去し、再度根管内を無菌化すべく治療します。

根管治療は、どれだけ上手く処置を行なっても100%細菌を除去することは現状不可能とされています。

歯内外科治療(歯根端切除術)

適応可能な部位には制限がありますが、上記の根管治療のみでの完治ができない場合に行う特殊外科治療法です。

根管の先端相当部歯肉を切開し、目視(マイクロスコープを用いて)で歯根の先端と病巣を除去する治療法がございます。
根尖の尖端から3ミリに細菌が96%程度存在すると言われており、その尖端3ミリを外科的に切除します。この方法は、マイクロスコープ下で治療を行う事で完治率が飛躍的に向上します。

当法人では、これまでに長期間難治化している患歯を歯根端切除術にて数多く完治に導いております。
適応かどうかの判断は、非常に精密に診査診断を行う必要がございます。一度ご相談下さい。

マイクロスコープを用いた歯根端切除術

歯根端切除術とは、感染の源となっている根尖を外科的に切除し周りの感染物を除去する処置です。解剖学的な研究にて、組織の毛細血管は根尖の先端約3ミリに96%存在するといわれているため先端3ミリを切除します。これらをマイクロスコープでより細部まで確認しながら処置をすることでさらに成功率を上げることができます。

当院の精密根管治療の流れ

1、カウンセリングを行い症状や経過をヒアリングし、その後お口の中を目視で確認します。
2、レントゲン撮影を行い原因歯の特定や病状の把握を行います。
3、これらの情報をもとに診断します。
4、原因歯の古い詰め物や被せ物、虫歯を最小限の侵襲で取り除いていきます。
5、根管内を消毒し、無菌的な状態で充填剤にて根管を塞ぎます。

当院の精密根管治療の症例

患者様の主訴 痛みと腫れを改善したい。
診断結果 右下6番の慢化per(歯根嚢胞)
治療内容 精密根管治療を行った後、歯根端切除術を行う。(歯根嚢胞摘出)
治療後経過 10ヶ月 経過良好 レントゲン撮影にて周囲骨の再生を確認
治療期間 約1ヶ月
治療費用 歯根端切除 10万+税
リスク・副作用 再発することがある。外科処置を伴う。